夫婦の寝室が別になってしまう

産後セックスレスの一因として考えられるのが、「子どもの誕生を機に、夫婦の寝室が別になってしまうこと」です。特に日本の家庭では、赤ちゃんはお母さんと添い寝する習慣が根づいているため、どうしても夫とは寝室が分かれてしまうケースが多く見られます。

◆なぜ日本では、夫婦の寝室が別々になってしまうのか?

海外の映画やドラマで見るように、欧米では赤ちゃんはベビーベッドで寝るのが主流であり、その間、お母さんは夫とともに夫婦の寝室で寝ることが一般的です。もちろん授乳やオムツ換えなどはしなくてはいけませんので、泣き声が聞こえる近い部屋に寝かせるか、もしくは赤ちゃんのいる部屋にベビーモニターを設置して、声がすぐに聞こえるように工夫しています。

一方、日本では赤ちゃんを一人きりで寝かせておくなんて「信じられない!」と言う母親が大半です。日本には昔から添い寝文化が根づいており、子どもが生まれたら親子が「川の字」で寝る姿がよく見られます。しかし川の字では赤ちゃんの夜泣きによって、夫の仕事に影響が出ることが多いため、「夫だけ別の部屋で寝る」という方法をとる夫婦が少なくありません。

なぜ国によってこうも事情が違うのか。もちろん理由の一つは住宅事情です。日本では、子どもと寝室を分けられるほど部屋数に余裕がない家が多いため、必然的に親子が一緒に寝ることになります。

また子育てや夫婦関係に対する意識の違いも大きいでしょう。欧米の夫婦は「子どもをできる限り自立させる」という意識が強く、たとえ小さな赤ちゃんであっても、早くから一人寝をさせることが大切だと自然に考えているのです。そして「家庭の基本単位は夫婦であり、子どもはいずれ巣立っていくもの」という考えが根底にあります。ですから子どもが生まれても夫婦が同じ寝室で寝ることが当たり前で、寝室が別になることは夫婦関係にとって大きなクライシスと受け止められています。

一方、日本では「子どもが生まれたら、子ども中心の家庭になる」ことが多いようです。もちろんそれだけ育児に手をかけ、子どもに愛情を注いでいる一面もあるのですが、気づいたら「子どもがいないと夫婦の会話がない」という事態も起こってきます。まさに「子はかすがい」状態です。子どもが巣立った後の熟年離婚が増えているのも、こうした子ども中心の家庭づくりが影響しているのかもしれません。もちろん夫婦の寝室が別になることで、産後セックスレスの問題も深刻化してきます。

◆寝室が別になっても、「夫婦の時間」を持つ努力が大切

欧米式と日本式、どちらがいいのか白黒をつけることは難しいものです。どちらにも良い面と悪い面がありますので、「双方のいいとこどり」をすることがベストだといえます。

赤ちゃんが生まれて間もないうちは、やはり安心のためにも母親が添い寝することは決して悪くないでしょう。特にアパートやマンションなどでは、欧米の一軒家と違って、赤ちゃんの夜泣きは近隣住民からのクレームにもつながります。そういう意味でも、すぐに抱っこや授乳ができるように添い寝することは理にかなっているのです。

しかし夫婦の寝室が別になることに「慣れ過ぎる」のも考えものです。子どもがある程度大きくなって、夜にまとめて寝られるようになったら、寝室を夫婦単位に戻すことも一つの方法です。

もしくは、夫婦の寝室を長く別々にする必要がある場合は、お互いにしっかりと意識を持って「月に何度かはセックスの日を持つ」というふうに決めることが大切です。「何となく別々のまま年月が経ってしまった」という状態がもっとも危険ですので、なあなあにならない工夫をしてみましょう。もちろんセックスだけではなく、ディナーや旅行など、夫婦単位で行動できる機会を持つことも大切です。

こうした意識をしっかりと持つだけでも、産後のセックスレスや会話レスを大きく減らすことができるはずです。